ゲストスピーチ 子どもシェルター「はるの家」の今

    NPO法人  子どもセンターののさん    理事長 安保 千秋
  
 子どもセンターののさんに、ご支援いただき、ありがとうございます。

2012年4月にオープンをした子どもシェルター「はるの家」は皆様のご支援に支えられて、虐待や家庭崩壊、非行などの困難を抱え今晩帰る所がない、主に10代後半の女の子達を受け入れ5年目に入りました。    

 <2015年度の入所者>
  2012年4月から2015年3月までの3年間の入所者はのべ60名(女子)、昨年度の入所者はのべ24名(女子)であり、開設以来の入所者の合計はのべ84名になります。

 昨年度の2015年4月から2016年3月までのはるの家にやって来た子ども達24名について、ご報告します。
年齢は11歳から19歳です。平均年齢は15歳です。入所期間は最短2日、最長約5ヶ月です。平均入所日数は29日です。
約60%の入所者が児童相談所の一時保護をされたことがあり、約40%の入所者が、児童福祉施設、自立援助ホーム、少年院の入所歴がありました。
家庭環境は、両親(実親及び養親含む)約16%、ひとり親約78%、保護者なし約6%です。

主たる入所理由は虐待が多いですが、従たる理由は様々です。母子家庭で母が病死し、母の死亡直後の呆然とした状況で、はるの家に入所した子どももいます。虐待家庭で育ち、何とか家庭で生活をし希望の専門学校に進学できることになりましたが、親がそれを妨害しようとするので家を出ざるを得なくなり、専門学校の寮に入るまで、はるの家に入所をした子どももいます。

また、他の施設が閉じたために生活場所がなくなり、はるの家から専門学校やアルバイトに通い、専門学校を卒業し就職先の寮に入った入所者もいます。この入所者は、入所中20歳になったためどこからも入所の費用が入ってきませんでしたが、就職先の寮に入るまで、はるの家で支援をしました。このように、はるの家から就職先の寮に入る、アパートを借りるなど、退所後一人で生活をする子どもに対しては、生活用品等の準備をいたしました。また、留学先から帰国する際に、もとの虐待家庭に帰りたくないと帰国後、そのまま、はるの家に入所した子どももいます。

 子ども達が抱える困難は、行動面では、不登校、非行、異性関係、家庭内暴力、薬物依存、ネット依存等です。精神面、知的面では、発達面での課題、被虐待児の特徴(精神的アンバランス、思考の特徴、攻撃性など)、知的障害等です。精神薬服薬中の子どもも3名いました。
退所先は、親宅、祖父母宅、児童養護施設、情緒障害児短期治療院、里親、児童相談所の一時保護所、就職先や学校の寮、ひとり暮らしです。  

 

 

     
 まず、支援の継続には経済的基盤をどう確保するかは大きな課題です。子どもシェルターは、公的資金を受けていますが、それは、職員2.5人の基準に基づいています。困難を抱えた子どもの支援には、2.5人の職員配置に基づく事務費の支給では、人件費も大幅に足りておらず、経済的にはいつも苦しい状況です。 
次に支援には人が必要です。長年、児童養護施設の施設長を務められた大江先生に、シェルター長をして頂いておりましたが、昨年度末で引退をされ、今年度からは新しいシェルター長になり、職員も交替がありました。シェルターのスタッフが、子どもに関わる力量に養えるよう、研修や日頃にサポートを充実する必要が
ありますが、毎日の運営に追われている状況です。
  3番目に、子ども達の出先が少ないです。シェルターを退所後、一人暮らしで自立することは難しいので、日常の生活をサポートを受ける事ができる出先が必要です。
  4番目に、子どもシェルターを、居場所の無い子どもに知ってもらう必要がありますが、広報が十分ではありません。ただ、広報をすればよいのかというと広報だけの問題ではなく、相談体制が必要をなってきます。今年度は、相談体制を作りたいと考えています。

これからも、子どもシェルターの挑戦を続けたいと思います。これからもご支援をいただきますようお願い申し上げます。